​各イベントの記録です

2018.04.21  斎藤徹独り会  聞き手 小山創 レポート (筆:小山創)

 

コントラバス奏者/作曲家の斎藤徹(以下敬称略)が、40年の音楽人生を演奏も交えながら語る。

第1部

 

・生い立ち

 

音楽一家に育ったわけではなかった。

家にはサイゴン製のピアノがあり、母が泣きながら弾いていた記憶。

幼少時にピアノを少し学ぶ。

 

・音楽家を志す

 

在学中は、鶴見和子の下で学ぶ。

自分が書いているものが嘘に思えて、嘘が付けないと感じた音楽家の道を選ぶ。

溝入敬三・井野信義の教えを受けるが、彼らの音楽には染まらなかった。

初台「騒」’(がや)にて、プロデビュー。

当時は、オーネット/モンク/ドルフィー等を演奏。

→ジャズ的な個性的演奏への疑問。

アメリカでの演奏時に、日本人が何故コントラバスを演奏するのか聞かれる

→自分にしかできない表現、「本格」である必要性の痛感。

→日本の伝統芸能への接近。

 

・85・86年の3つのエポック

 

井野信義の紹介で、高柳昌行とのデュオ活動開始。

2年間の共演で、音楽における本当に大事なことの数多くを学ぶ。

いきなり頂点のミュージシャンと付き合ってしまったため、同世代の音楽仲間がいない。

→演劇への接近・共演

 

韓国のシャーマンとの共演。

→「効果」ばかりを狙っていた自分の演奏への反省。

 「場」を作ることの重要性を学ぶ。

 

アルゼンチンで、オズワルド・プグリエーセと共演。

以後、タンゴにのめり込む。

 

演奏

「ストーンアウト」より”序章””終章”

※韓国のリズム長短(チャンダン)のクッコリ・サルプリを参考に作られた12拍子の曲。

 拍子の12は、四季の移ろい等の万物の時の流れを象徴しているという。

 サルプリは元来、心に入り込んだ妬み・嫉み・僻みを解き放つため一人で踊るためのリズム。

コントラバヘアンド

 

 

第2部

 

・作曲

 

自分の好きな音楽を演奏することへのためらい。

好きな音楽=演奏する音楽ではない。

→「本格」へのこだわり。

大病後は、こだわりが無くなる。

 

演奏

 

問い:「本格」を目指すなら、自作曲でアプローチすべきでは?

→自分は天性の作曲家ではない。また、自作曲も既存音楽を参照していて、真にオリジナルではない。

→「即興」というアプローチから、自分が求めていた答えが見つかるのでは?

 

・即興

 

「即興」の対義語は「作曲」ではなく、「常識」や「自分自身」。

インプロヴィゼーションによる共演によって、「自己表現」を超えた「自己実現」が可能になるのでは?

「良い即興」と「悪い即興」の区別はある。

ノン・イディオマティック・インプロヴィゼーションのような、何かを破壊するような方法には興味はない。

日欧における演奏家・聴衆の相違。

沢井一恵が考える一番美しい「音」のエピソード。

→柱(じ)を外した筝が風で自然に鳴るのが至上の音。

→「人為的」「効果的」でない「音」を、コントラバスで如何に演奏するかを実践。

 

演奏

横置き奏法による即興

 

自然が創り出す「音」が最も美しいのであれば、プロの演奏家は必要なのか?

 

倍音・雑音楽器としてのコントラバスの特性が出るチューニングの考案。

 

演奏

E♭チューニング奏法による即興

 

・ワークショップ

 

そもそもの経緯。

→大病をしたことで、人との繋がりを求めていた。

ワークショップのテーマ

  • 「音を意識した生活」

  • 「心と身体を所有しない」

  • 「根を持つこと・羽を持つこと」

 

③は、確固たる居場所を求める自分と、一箇所に留まらず放浪したい自分という矛盾を受け入れること。

①②③は有機的に結びつき、音楽における即興だけでなく、あらゆる表現や日常生活にも繋がっていく。